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港区学びの達人プロジェクト

2022 ABLプログラム「静かな場所を探せ!」(全3回)

プログラムのねらい

身の回りに当たり前に存在するモノに目を向け、あらためて注意深く観察し、新しい気づきや疑問を生成すること、当たり前を考え直して学びを深めることが学びの達人プロジェクトを通じての大きな目的となります。

今回は、『音』に注目していきます。音の大事な役割は、コミュニケーション。私たちはどのように自分の考えや気持ちを伝えているのでしょう。音のない世界でどのようなコミュニケーションが生まれるのでしょう。コミュニケーションにおいて音はどのような役割を果たすのかを考えます。

音は、目に見えません。音は、どのように測定すればよいでしょう。「うるさい」ってどういうこと?音の物理量(ラウドネス)を測定しながら、主観的な「うるささ」「静けさ」との対比を考えます。

実施概要

実施日時2023年2月15日〜3月4日(全3回)
会場ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」・みなと科学館周辺・オンライン
参加者小学4年生から中学1年生まで 10名

第1回:音のないコミュニケーション

実施概要

実施日時2023年2月15日(水)
会場ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」
参加者小学4年生から中学1年生まで 9名

子どもたちの活動の様子

今回のプログラムのテーマは「音」。

身の回りにあふれている音はどんな役割を持っているでしょう。多くの人は、会話をするために音・音声を使っています。コミュニケーションでの音の役割を実感するために、音を使わないコミュニケーションを体験してみよう!ということで、ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」にやってきました。

音を使わないでコミュニケーションをしている「よし」さんと「バンダナ」さんにアテンドされ、2グループにわかれて音を使わないコミュニケーションの世界を体験します。ヘッドセットを装着して音が聞こえないようにして、身ぶり手ぶり、そして表情で伝えられるアテンドさんからの指示をどうにか読み取ります。最初はがちがちに緊張していた子どもたちも、アテンドさんのあたたかい表情、雰囲気にだんだんほぐれていき、それぞれの身ぶり手ぶりで意思を表出します。最後によく使われる手話のレクチャー。「うれしい」「わかる」「なに?」「ごめんね」「ありがとう」など,いろいろな手話を教えてもらいました。

プログラム後は、ヘッドフォンを外して感想を共有しました。「どうだった?むずかしかった?」との問いかけには「むずかしかった」「でも伝わった」「楽しかった」「いがいと簡単だった」などの感想があがりました。音を使わなくても人とコミュニケーションができることを体感した日となりました。

次回の宿題は、「お友達やおうちの人と話をするときに『音・ことば』以外をうまく使えた場面を記録してくること」です。子どもたちがどんなコミュニケーションをしてくるのか、とても楽しみです。

プログラムの説明を聞いている様子
声以外の手段で行った対話

第2回:音以外のコミュニケーション

実施概要

実施日時2023年2月22日(水)
会場オンライン
参加者小学4年生から中学3年生まで 10名

子どもたちの活動の様子

今回の宿題は、家族や友達とした「音やことばを使わないコミュニケーション」で上手くいったことをメモしてくることです。「遠くにいるお母さんに自分がいる位置と“楽しい”ということを身ぶりと表情で伝えた」「友達に対して“いやだ”という気持ちを,言葉ではなく表情で伝えた」「きょうだいげんかでにらみつけた」など、言葉以外の表情やジェスチャーで伝えた経験を教えてくれました。スタッフからは、ジェスチャーのほかに服の色で明るい気持ちを表現といったやり方も紹介しました。

その後、マガーク効果を体験する簡単な実験をしました。これは、「見る」情報が「聞く」情報に干渉し、音声の聞こえ方を変容させてしまう現象のことです。子どもたちも見事に、見る情報に引っ張られました。最近は、口をマスクで隠された生活が長くなっていますが、何かコミュニケーションにも影響があるのでしょうか。

その後、音の測定の話をしました。「静か」「うるさい」という目に見えない音はどうやってはかる?という質問に「自分がうるさいと思ったら」「不快感」など、いろいろな意見が出されました。物理的に音の大きさを測定するのは…と、工事現場にある騒音計の写真を出してみたら「見たことある!」との発言が。騒音規制法で,工事現場では85デシベルまでしか出してはいけないんだよと紹介すると「85デシベルってどのくらいの音?」という質問も出ました。みなさんのお部屋の中、教室の中はどのくらいのうるささでしょうか…?

そして最後に、次回までの宿題「家の中や外で,静かなところ、うるさいところを探して、何dB(デシベル)か予想して書いてくる」が出されました。次回は、それぞれが予想してきたところをみんなで測定しに行くことになりました。

前回の音のない世界について感想を伝え合う
目で見た情報が、聞こえ方に影響する

第3回:港区の静かな場所を探そう

実施概要

実施日時2023年3月4日(土)
会場科学館周辺の神社、駅など・みなと科学館
参加者小学4年生から中学1年生まで 6名

子どもたちの活動の様子

身の回りにある、でも目に見えない「音」をテーマにした本プログラム。第3回は「音」の測定を試みます。まずは、前回の宿題「家の中や外で、静かなところ・うるさいところを探して何dBかを予想する」を共有しました。静かな場所として「図書館(50dB)、美術館(40dB)、路地裏(50dB)、運河沿い(45dB)、エレベーターの中(48dB)、宇宙(0dB!)」、うるさい場所としては「電車の駅(90dB)、海岸通り(110dB)、高速道路(70dB)、低空飛行中の飛行機(200dB))」などさまざまな意見が出てきました。

音の単位、デシベルに慣れるため、iPadのデシベルXのアプリを使ってまずは科学館の中を測定します。「科学館の中で一番静かな場所を探してきて」とミッションを出すと、子どもたちは思い思いの場所で測定を開始。人がいないところ、反響しないところ、服でiPadを隠してなど、工夫して測定をして40dB台の静かさを出してきました。

次はいよいよ本番。科学館の外にでて一番うるさいところと一番静かなところを探します。地図をみながら、それぞれに測定したい場所を決め、予想を立て、二手に分かれて測定開始。科学館の周りにはお寺や神社が多いので、そこを通りながら、駅やトンネル、道路も測定してみようとルートを考えました。お寺は静かかと思いきや周りの工事の音が響きます(87dB)。工事の音が聞こえない大きなお寺(青松寺)でも、水の流れや鳥の声が聞こえてきて実は「静かではありませんでした(55dB)」。山の上の愛宕神社はまあまあ静か(50dB)。トンネルの中は、車が通らないときは静かだけど、車が通ると音が反響されて外よりもうるさい(最高107dB )。なかなか、予想通りに行きません。他にも地下鉄の駅(96dB)や誰もいない科学館の地下の階段(36.4dB)など時間をいっぱいに使って、音を測定しました。

一番静かな場所と一番うるさい場所はどこだったかの結果を共有しました。「工事現場がうるさいと思ったけど思ったより静かだった」「神社はうるさかった」など新たな発見があったようです。同じデシベルでも,鳥の声と車の音は感じ方が違い、うるさい「不快」「好き」の気持ちもうるささには影響してくるねと確認しました。

「自分が静かだと思うところでも他の人によってはちがうこともある、その逆もある。自分にとっても他の人にとっても心地よい環境を大事にしたいね。」と話し、今回のプログラムは終了となりました。

うるさいと思う場所を計測している様子
「一番静かだと思う場所」と「1番うるさいと思う場所を予測した地図
静かだと思う場所を計測している様子

参加した子どもたちからの感想(一部抜粋)

・文字や言葉以外にも色々なコミュニケーションがあることがあって、面白かった。同じdBでも感じ方が違うことが心に残った。(小6・女子)

・声以外でも伝える方法があることを知った。お寺が意外とうるさかった。(小6・女子)

・同じ土地でも静かな場所とうるさい場所がいくつもあることに気づいた。dBで表すと、10以下は出にくいことがわかった。そして、うるさいにもマックスがあるのに気づいた。(小5・男子)

保護者からの感想(一部抜粋)

・音の単位を習ったこと、また1番dBの高い場所を当てられた!など、特に外を巡って計測した日の話と、対話の森での体験を嬉しそうに細かく話してくれました。気にならない音ならばdBが高くても騒音に感じないことへの気付き、さまざまな認識に個体差があることの再確認ができたことに充実感を得ていた様子でした。(小5女子・保護者)

・覚えた手話、音がない中でどうやって相手に伝えたかを身振りと説明してくれました。静かそうだから天徳寺、トンネル、青松寺から階段から愛宕神社へ。交通量の多い道路も測ってみた。
デシベルが全てじゃなくて自分で感じるのも大事…等話してくれました。(小6女子・保護者)

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