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港区学びの達人プロジェクト

2023 ABLプログラム「君たちはどうハカルか」(全3回)

プログラム概要

地図のない時代に人はどうやって距離を測っていたのでしょうか?時計がない時代に人はどうやって時間を測っていたのでしょうか?
実は、君たちの体はモノサシとしてさまざまに利用できます。どの部分をどのように使ったら正確なモノサシになれるでしょうか?
君たちの身体と知恵をフル活用して、自分だけの人間モノサシを完成させましょう!

実施スケジュール

実施日時 2023年10月4日〜10月21日(全3回)
会場 みなと科学館周辺・オンライン
参加者 小学4年生から中学2年生 14名

第1回:君たちは人間モノサシになれるか?

実施概要

実施日時 2023年10月4日(水)
会場 みなと科学館
参加者 小学4年生から中学2年生 10名   

活動の様子

今回のテーマは「ハカル」。「君たちは人間モノサシになれるか?」と問いから始まりました。自分の体の中でモノサシになりそうなところはどこでしょう。

「手」「腕の長さ」「足の大きさ」など,自分の体の中でサイズがわかりそうなものを発言する子どもたち。まずは「手のひらモノサシ」を使おう!ということで,それぞれの手のひら(手をめいっぱいひろげた親指の先から小指の先まで)のサイズを測ります。それぞれの手のひらモノサシの単位を確定してから,いざ,机の長さをハカレ!ピッタリで測定できた人,誤差が大きくあった人などさまざまで,それぞれの「手のひらモノサシ」の精度をふりかえりました。
次は「目」モノサシ,「目測」です。目で見て30㎝定規と同じ長さのものを部屋の中で探してみようというミッションに,定規をじっと見つめた後で部屋を探す子どもたち。それぞれが「これが30㎝」と思うものを持ってきて実測します。ある子が指定した「カレンダーの縦の半分」がぴったり30㎝で「ゴッドアイ」の称号を獲得しました。
最後に「歩幅」モノサシです。歩幅の定義を確認したあと,それぞれの歩幅を測ります。歩幅モノサシで部屋の縦横をそれぞれが測定し,10mメジャーで実測。初めて会った子どもたちも,協力してメジャーのはしとはしをおさえて夢中になって何度も測定していました。

まとめの課題として,それぞれの人間モノサシを使って科学館の中の距離を思い思いに測りました。手すりの長さを手のひらモノサシで測定する子,展示室の台の長さを靴のサイズで測定する子などさまざまにいました。実験室にもどってきて,自分のモノサシの精度をふりかえりました。

最後に,「自分の歩幅モノサシをつかって自分の家から学校(もしくは,近くの公園)までの距離を測定してくる」宿題の説明を受けて,第一回目のプログラムは終了です。子どもたちの歩幅モノサシの精度はどのぐらいでしょうか?

科学館の実験室の大きさを歩幅モノサシでハカル子ども達
30㎝のものを探している子ども達

第2回:君たちの人間モノサシの精度は?

実施概要

実施日時 2023年10月11日(水)
会場 オンライン
参加者 小学4年生から中学2年生 10名

活動の様子

前回,手,目,足を中心に人間モノサシになったみなさんに,家から学校(もしくは近くの公園)まで,歩幅モノサシで測定してくる宿題を出しました。今回はその結果を共有することから始まりました。初めて家から学校までの距離感に注目したという子,複数回測ってみたら違う結果になった子,3回測ったらいつもほぼ同じだった子,GoogleEarthの道順と照らし合わせて答え合わせした子,GoogleEarthには出てこない“近道”で通学していた子,132歩で着いちゃった!子などさまざまにいました。大事なのは「まずやってみる」こと。そこから見えてくる次の疑問を探求していきましょう。

「実測」「予測」「目測」をしてみましたが,他にも「〇測」という単語があります。また「ハカル」は漢字で「測る」「計る」「量る」「図る」「諮る」「謀る」などさまざまにあります。これらについて少しふれ,国語の学習につなげました。

最後に,今回もまた,人間モノサシになりました。「計れ!君は人間時計になれるか?」というミッションでは,1分間を自分の時計で測りました。目をつぶって1分経ったと思ったら目をあけてもらいます。40秒で開けてしまう子,53秒,1分3秒,4秒,30秒,,,とそれぞれの「1分」を測定しました。1分ピッタリで目を開ける子もいました。他にも,今の気温は何度なのかを人間温度計となって予測し,実際の温度計と照らし合わせたり,「50g」や「200ml」を予測して家にあるものを持ってきて比べてみました。

次回のプログラムではいよいよ大通りの長さをハカります。限られたアイテムを使って距離をハカル方法を考えてくる宿題が出されました。さてさて,「君たちはどうハカルか」。。。

宿題を共有している子どもたち

第3回:大通りの長さをハカレ!

実施概要

実施日時 2023年10月21日(土)
会場 みなと科学館周辺
参加者 小学4年生から中学2年生 9名

活動の様子

前回,「大通りをハカル」方法を考えてくる宿題を出されたみなさん。限られた道具(30㎝定規,ヒモ,ボール,ストップウォッチ,その場で追加された電卓)と,自分の身体を使ってハカル方法をまずは科学館の中で練習です。ヒモと,前々回測定した机の長さ(180㎝)を使う方法,自分の靴の大きさを測定して靴をピッタリあわせて歩いていく方法,タイルの長さを調べてタイルの数を数える方法,ヒモと定規とボールを組み合わせて投げたりひっぱったり,さまざまにアイデアが出されました。

さあ,いよいよ本番です!
新虎通りに移動して,それぞれの方法で測定がスタート。制限時間は30分。誤差50㎝以内はピッタリ賞。
通行人もいる通りでは,予想外のことが起こります。まず,長く垂らしたヒモが絡まるアクシデント。絡まったヒモをほどこうとしてちぎれてしまいます。また,通りにある点字ブロックを活用しようとすると,途中の横断歩道で途切れてしまいます。直線でまっすぐ歩こうとしても柵が邪魔をします。でも,思った通りにいかないこんなときこそ,知恵を働かせるチャンス。考えて,試して,うまくいかなくて,また考えて,試して。机の上で「考える」だけで終わらない学習に粘り強く取り組んでいきます。
最後に,スタッフが長距離測定メジャーで大通りの長さを測ります。それまでバラバラに自分の方法を試していた子どもたちも,スタッフについていき真剣に答えがでる過程を見守ります。

科学館に戻って答え合わせ。今回の答えは265100㎝。大学で地質学を選考していた科学館の谷口先生は,在学中に100mを67歩でハカル技を鍛えていたという見事な人間モノサシの持ち主,大通りを一定の歩幅で歩くだけで「265671㎝」という答えを導き出しました。これが一番近かったのですが,子供たちのアイデアも,「ヒモ1巻」「自分の靴のサイズ」などと,どれも素敵なアイデアでした。
疲れたみなさんに,目測ジュースが振る舞われました。「200mlはどれくらい?」と目測してコップに線を書かせ,それが正解の200mlとどれくらい近いのかを比較しました。

最後に,人間モノサシの精度をあげるのに尽力し,また,試行錯誤を繰り返して大通りの長さを測定した皆さんに「達人証明書」を授与してプログラムは終了しました。

新虎通りを点字ブロックでハカル様子
スタッフと長距離測定メジャーで正解を確認した
新虎通りをテープでハカろうとしている様子
目測ジュースを比べている様子

参加した子どもたちからの感想(一部抜粋)

・次は野菜などの重さをはかってみたい。(小4・男子)

・歩数モノサシが一番好きだけど,正確だったのは意外にも目測だった。次は家(マンション)の大きさを測ってみたい。(小5・男子)

・物は,目測から実測すると思ったよりも長くて驚いた。長さには興味なかったけど,このプロジェクトで少し興味が持てた。手のひらモノサシが一番好きでした。(小6・女子)

・手のひらモノサシは家具を買う時使えそう!距離が長くなると誤差が大きくなることを発見した。時間にルーズだとよく言われるので,時間の単位を10時間とかではかってみたい。(中1・女子)

保護者からの感想(一部抜粋)

・今回のテーマは息子には合っていたようで楽しかったようです。 伊能忠敬のことを歴史漫画でみたりと、関心が科学以外にも広がって良かったです。 測定テーマ=理科だけでなく、多角的に興味を広げていくことが、うちのような子には生き生きとした学びに繋がるかと思います。 お恥ずかしいのですが、学校の授業などでは先生からの一斉授業には退屈そうにだらだらと聞いているタイプです。 フィールドワークが楽しかったようで、実際に試す、試行錯誤する勉強がこの子には合っていて楽しかったのだと思います。(小4男子・保護者)

・初めて会った同じグループの人とも話して、測ることができた。 制限時間の中で、課題に取り組むのが楽しかった(学校では制限時間内に計算問題を解くのが大の苦手)。 宿題が出たので、今週の間にやる(実際に自ら、下校時に歩数を数えながら、いつもの3倍の時間で帰宅してきた) 。色々な体勢で、お話を聞いている人がいた。などと話してくれました。(小4女子・保護者)

・自分は足の大きさで物差しを作って測り他の人たちは紐やその他いろいろな方法で測っていた。結論としてはもちろん普通の物差しで測った方が正確にわかるけれども、昔の人のように日常的に使っていた感覚ものさし?のほうがわかりやすいこともある。と話してくれました。(小5男子・保護者)

・最後に飲み物をもらったのが嬉しかったようで、ソーダを飲んだ!とニコニコで報告してくれました。 その後、俺はiPadの測定アプリで測ったんだけど、ガバガバだった!と言っていました。本人はもっと正確に測れると思っていたみたいです。 大学で歩数で測る特訓をしていた人が来ていて、その人がすごかったー!と興奮気味に教えてくれました。(小5男子・保護者)

・自分の一歩が何センチなのかは、過去に興味があって知っていたようで(親の私は初耳!)、あとは気が散らない様に朝ひとりで登校できる日に歩数を数えたそうです。途中お友達に話しかけられても、ちょっと歩数数えてるからごめん!とさばいたとか。その姿を想像するだけでちびっ子研究者みたいで微笑ましかったです。(小6女子・保護者)

・朝の通学時に歩幅を数えながら行っても、メモをし忘れるようで、何歩が分からなくなったことが2,3日あったようです。子供の歩幅も自分で測定すると意識して歩いてしまうようで、自由に歩いた際に測定した歩幅とは差異が生じてました。(中1女子・保護者)

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